成年後見制度とは、判断能力の不十分な成年者を支援し保護する制度
成年後見制度は、判断能力の不十分な成人の方を、契約などの場面で支援し保護する制度です。
「認知症」の方に限らず、「知的障害」をお持ちの方、「統合失調症」の方も利用できます。
契約は、「自己決定・自己責任」でおこなうことになります。不動産等の売買も、売主と買主が売買契約を結んでおこないます。
仮に、売主の方の判断能力が不十分だったら、その方のした契約に「自己責任」を負わせることは酷なことになります。そのため、判断能力が不十分になっている方がした契約は「無効」や「取消」など、思わぬトラブルが生じることもあります。これを避けるためには、この「成年後見制度」の利用が必要です。
成年後見制度を利用するときは、4親等内の親族の方などが、家庭裁判所に申立をおこないます。
申立を受けて、家庭裁判所は後見人を選任し、その後見人がその方に代わって判断し、その方が不利益を受けないよう支援することになります。
成年後見制度は、その方の判断能力の程度に応じ、3種類の後見人の支援を受けることが出来ます。
判断能力に少し問題が生じた方には、補助人が支援します。その方が、必要とした支援をおこないます。
判断能力に問題が生じた方には、保佐人が支援します。保佐人の了解なく重要な取引(民法13条2項)をしたときは、取消ができます。また、その方の必要とした支援もおこないます。
判断能力が著しく不十分になった方には、成年後見人が支援します。 日常的な取引(生活用品の買い物など)以外の取引は、すべて成年後見人が支援します。
成年後見制度は、判断能力が不十分な方の制度です。
今、お元気な方は、利用出来ません。でも、「将来認知症になったらどうしよう…」とお考えでしたら、「任意後見制度」を利用できます。
元気な今のうちに、認知症になったら、「どのように支援してもらいたいか」あらかじめ信頼出来る方と公証人役場で契約をしておきます。
将来認知症になったら、その信頼出来る方から、あらかじめお願いしておいた支援を受けることが出来ます。その時、認知症になっていますので、自分ではその方を監督できません。そこで、家庭裁判所から選任された任意後見監督人に監督してもらうことができます。